木曜日, 8月 18, 2011

KVMの管理 改訂版 virt-manager 入門
(第1回 仮想マシンマネージャー)

[概要]
仮想化環境の管理ユーティリティvirt-manager 0.8.x (RHEL6, CentOS6, ubuntu 10.10, 11.04)について説明をしています。

[詳細]
"Virtual Machine Manager(virt-manager)は、Red Hat社が中心になって開発している複数の仮想化環境をグラフィカルに管理するユーティリティです。virt-managerはlibvirt (virtualization API)を介して、Xen, Qemu, KVMなど異なるハイパーバイザーを一括して管理することが出来ます。

virt-managerを含むVMMのユーティリティは開発途上で、バージョンによって機能やユーザ・インタフェースが大きく変わります。
この改訂版では、RHEL6, CentOS6, ubuntu 10.10, 11.04で広く採用されているvirt-manager 0.8.xについて説明していきます。
さて、第1回目の今回は"仮想マシンマネージャー"の画面について解説します。


[メニュー・バーの説明]
  1. ファイル
    1. 接続を追加
      仮想化環境への接続を追加します。
      REL6/CentOS6, ubuntu11.04, 10.10ともに、デフォルトではlocalhost上のQemu(kvm)に対する接続が作成されます。
    2. 閉じる
      "仮想マシンマネージャー"の画面を閉じます。
      他にコンソール画面が開いている場合はvirt-manager自体は終了しません。
    3. 終了
      すべての画面を閉じてvirt-managerを終了します。
      マネージャが終了されるだけで、管理しているホスト、仮想マシンは動作を続けます。
  2. 編集
    1. 接続の詳細
      選択してる「接続」もしくは選択している仮想マシンが動作している「接続」の詳細情報の表示、仮想ネットワーク、仮想ストレージの管理を行います。
    2. 仮想マシンの詳細
      選択している仮想マシンのコンソールを開きます。
    3. 削除
      選択した仮想マシンを削除します。
    4. 設定
      virt-managerがホストから取得する情報の内容やその間隔、コンソールの振る舞いなどについての設定を行います。
  3. 表示
    仮想マシンマネージャーに表示するグラフを選択します。表示できる内容を下記の通りです。
    • CPU使用率
    • Disk I/0
    • Network I/O

  4. ヘルプ
    virt-managerのバージョンなどの情報を表示します。



[ボタンの説明] ボタンの説明を左から順に行います。
  1. 新しい仮想マシンの作成
    新しい仮想マシンを作成するために、ウィザードを立ち上げます。
  2. 開く
    選択している仮想マシンのコンソールと詳細情報のウィンドを立ち上げます。
  3. 実行
    仮想マシンを起動もしくは停止状態から復帰します。
  4. 一時停止
    仮想マシンを一時停止します。
  5. シャットダウン
    仮想マシンのシャットダウン/リブートを実行します。次の3つの動作から選択してください。
    • 再起動
      仮想マシンの再起動を行います。仮想OSにAPCIを制御する機能がないと動作しません。
    • シャットダウン
      仮想OSのシャットダウンを行います。再起動と同様に仮想OSにAPCIを制御する機能がないと動作しません。
    • 強制的に電源OFF
      仮想マシンの電源を強制的にOFFにします。保存されていないデータを失ってしまったり、OSがクラッシュする可能性がありますので十分に注意してください。
    • 保存
      実行中の仮想マシン実行状態を保持したまま停止します。仮想マシンを再起動した際には、停止した処理を継続します。
    virt-managerには仮想マシンのリセットする方法がありません。一度、「強制的に電源OFF」を行った後、「実行」してください。
[接続の管理] 「接続」 ("localhost(QEMU)"など)を選択した際に、右クリックで表示されるメニューについて説明します。
  1. 新規
    選択してる「接続」に新しい仮想マシンを作成するために、ウィザードを起動します。
  2. 接続
    選択した「接続」に接続します。
  3. 切断
    選択した「接続」から切断します。
  4. 削除
    選択した「接続」をvirt-managerから削除します。削除するために、まず、「接続」を切断してください。
  5. 詳細
    「接続」の詳細情報の表示、仮想ネットワーク、仮想ストレージの管理を行います。
[仮想マシンの管理] 仮想マシンをを選択した際に右クリックで表示されるメニューについて説明します。
  1. 実行
    仮想マシンを起動もしくは停止状態から復帰します。
  2. 一時停止
    仮想マシンを一時停止します。
  3. シャットダウン
    仮想マシンのシャットダウン/リブートを実行します。次の3つの動作から選択してください。
    • 再起動
      仮想マシンの再起動を行います。仮想OSにAPCIを制御する機能がないと動作しません。
    • シャットダウン
      仮想OSのシャットダウンを行います。再起動と同様に仮想OSにAPCIを制御する機能がないと動作しません。
    • 強制的に電源OFF
      仮想マシンの電源を強制的にOFFにします。保存されていないデータを失ってしまったり、OSがクラッシュする可能性がありますので十分に注意してください。
    • 保存
      実行中の仮想マシン実行状態を保持したまま停止します。仮想マシンを再起動した際には、停止した処理を継続します。
    virt-managerには仮想マシンのリセットする方法がありません。一度、「強制的に電源OFF」を行った後、「実行」してください。
  4. クローン
    選択してる仮想マシンのクローンを作成します。仮想マシンが停止していないとクローンを作ることはできません。
  5. マイグレーション
    選択してる仮想マシンを指定したホストに移動します。
    (ただし、仮想マシンが移動できるための設定がなされている必要があります。)
  6. 開く
    選択している仮想マシンのコンソールと詳細情報のウィンドを立ち上げます。
以上で、"仮想マシンマネージャー"の画面についての説明は以上です。次回からは仮想マシン個々の管理について説明します。

水曜日, 8月 17, 2011

KVM 入門 改訂版
( バーチャルマシンの作成からゲストOSのインストールまで)

[概要]
KVMでの仮想マシンの作成からOSインストールまでの手順を説明しています。

[詳細]
今回は仮想マシンの作成からOSのインストールについて説明します。
KVMで仮想化環境を管理する方法ツールはいくつもありますが、今回は"virt-manager"を使って仮想マシンを作成します。"virt-manager"はRed Hat社が中心になって開発している仮想化環境の管理ツールのひとつで、Xen, Qemu(KVM含む)の複数の仮想化環境を一括して管理することが出来ます。この改訂版では、RHEL6, CentOS6, ubuntu 10.10, 11.04で広く採用されているvirt-manager 0.8.xを作成方法について説明します。
なお、この入門編では、一般的な手順で仮想マシンの作成を紹介し、他の方法については管理編にて触れます。
  1. OSイメージの準備
    仮想マシンにインストールするOSのISOイメージを、ホストマシンに保存してください。仮想マシン作成の練習には、ubuntu 10.10, 11.04 か CentOS5.4以降をお勧めします。
  2. virt-managerの起動
    virt-managerの起動は、ターミナルでvirt-managerと入力するか、メニューバーから"仮想マシンマネージャー"を選択して行います。
  3. ウィザードの起動
    左端の"新しい仮想マシンの作成"ボタンを押すか、"localhost (QEMU)"(「接続」)を右クリックで"新規"を選択すると、ウィザードが起動します。
  4. 仮想マシン名の設定とインストール方法の選択 (ステップ 1/5)
    最初の画面では、仮想マシン名の設定とインストール方法の選択を行います。
    仮想マシン名では、任意の名前をつけることができますが、使える文字は半角英数字と"-",".","_"です。また、「接続」上で一意である必要があります。だたし、ゲストOSのマシン名とは必ずしも一致させる必要はありません。
    今回、インストール方法は「ローカルのインストールメディア」を選択します。
  5. インストールメディアとOSの選択 (ステップ 2/5)
    インストールメディアの場所は、ホストの物理ドライブとISOイメージを使うことが出来ます。今回は手順0で用意したISOイメージを使用するので、「ISOイメージを仕様」にチェックし、ISOイメージのパスを入力してください。

    「参照」からパスを選ぶときには、ポップアップした画面中の「ローカルを参照」ボタンを押して、イメージを選択します。

    OSの種類とバージョンの選択は、インストールするOSに合わせます。
  6. メモリとCPUの設定 (ステップ 3/5)
    仮想マシンに割り当てるメモリ容量とCPUの数を指定します。
  7. 仮想ストレージの作成 (ステップ 4/5)
    仮想ストレージを作成します。最初から選択されている「コンピューターのハードディスク上にディスクイメージを作成」をそのまま使用し、必要なディスク容量を指定してください。CentOS, ubuntuともに、デフォルトの8GBの容量で十分です。
  8. ネットワークと仮想化方式の設定 (ステップ 5/5)
    接続するネットワークと仮想化の方式を決定します。
    今回、ネットワークは"defualt"の"NAT"を選択してください。他のネットワークについては、別の機会に説明します。
    CPUアーキテクチャーは、"x86_64" (64bit), "i686" (32bit)のどちらかを選択します。ホストが32bit CPUの場合は"i686" だけが表示されます。ハイパーバイザーは、"kvm"を選択してください。

    「完了」を押すと、コンソール画面が開き、インストールが始まります。
  9. 仮想マシンのOSインストール
    コンソールにマウスをフォーカスすると、コンソール内にマウスが移りります。これ以降は物理マシンと同じようにインストールを行ってください。コンソールからマウスのフォーカスをホストにもどす方法は、"Control_L"と "Alt_L"を同時に押してください。

    作成した仮想マシンは、"localhost(QEMU)"の下に表示されています。

以上で、KVMでの仮想マシンの作成、OSのインストールの説明は終了です。次回から仮想化環境の管理に必要なvirt-managerの詳しい説明に移ります。