木曜日, 11月 05, 2009

Oracle VM 入門 (第3回、サーバ・プールの概念と作成)

[概要]
Oracle VM (OVM) Managerのサーバ・プールについての説明を行います。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
前回はOVM Managerのインストールについて説明しました。次のステップとして、OVM Managerでの管理操作について説明したいところですが、OVMは大規模な仮想化環境での使用を前提としているので管理の概念が少々複雑です。
仮想マシンを作成する前に、OVMの概念を理解したほうが操作も理解しやすいので、今回はOVMの管理概念を先に説明し、それからサーバ・プールの作成方法を説明します。

サーバ・プールとは、OVMを構成するサーバ群をある一定のグループにまとめた単位のこといいます。OVMの管理の最も大きい単位がサーバ・プールです。ここで「ある一定のグループ」とは、各サイトの設計思想の寄ります。例えば、「経理、人事、生産」のような業務で分けたり、HWの性能に別に分けたりといった感じです。OVMでは最低1つのサーバ・プールを作成する必要があります。グループ分けする必要のない場合、たとえサーバが一台の場合でも、サーバ・プールを作成してください。
次に、サーバ・プールに所属するサーバについてですが、下記の3つの種類があります。

  • Server Pool Master
    OVM Managerと通信を行い、サーバ・プール内のサーバを管理します。(サーバ・プール内に1つ)
  • Utility Server
    仮想マシンの作成、変更、削除を行います。インストールのためのISOイメージや後述するテンプレートを格納します。(サーバ・プール内に1つ以上)
  • VM Server
    仮想マシンの実行を司ります。(サーバ・プール内に1つ以上)
なお、それぞれの役割を、1台のサーバで兼ねることも可能です。 さて、これらを踏まえて、OVMの管理について説明を始めます。今回はサーバ・プールの作成までを説明します。 まずは、OVM Managerにログインしましょう。
  1. OVM Managerへのログイン
    OVM Manager Webコンソールに接続します。ユーザ名は"admin"。パスワードは前回、「OVM管理者のパスワード設定」で、設定したパスワードを使用します。


    初回のログイン時には、サーバ・プールがない旨が表示されますので、"Next"を押して、先に進んでください。

  2. 必要事項の記入
    "Create Server Pool"のページでは、必要事項を入力します。"*"が付いている箇所は必須項目です。
    • Server Pool Name
      サーバ・プールの名前を入力します。OVM Managerの中で一意でなければなりません。(必須)
    • Server Pool Virtual IP
      後述するHigh Availability構成にした際に、"Sever Pool Master"にアクセスするための仮想IPを設定します。(任意)
    • Enable High Availability
      Sever Pool MasterをHigh Availability構成にする場合にチェックします。High Availability構成とは、Sever Pool Masterがダウンしたときに、自動的に他のサーバがSever Pool Masterとなる構成のことです。High Availability構成にするためには、OVM Serverが2台以上必要です。High Availability構成については回を改めて説明したいと思います。(任意)
    • Server Host/IP
      サーバ・プールに参加させる1台目のサーバのホスト名もしくはIPアドレスを入力します。(必須)
    • Server Name
      OVM Managerに表示されるサーバの名前を入力します。標準では"Server Host/IP"の入力と同時に同じ値が入力されます。変更したい場合には、後から上書きしてください。(任意:"Server Host/IP"と同じ値)
    • Server Agent Password
      OVM Serverのインストール時に設定したOVM Agentのパスワードを入力します。(必須)
    • Server Username
      Utility serverに対して、ISOイメージやtemplateのアップロードや削除などを行うユーザを指定します。(必須)
    • Server Password
      "Server Username"に対するパスワードを入力します。(必須)
    • Location
      OVM Serverの設置場所を記入します。(任意)
    • Description
      このOVM Serverについて説明を記入します。(任意)
  3. 接続確認
    必須項目のすべてに記入が終わったら、"Test Connecttion"を押しサーバへの接続確認を行います。成功すると
    "The server (サーバ名) can be connected."と表示されます。
    エラーが表示された場合には、ユーザ名、パスワードやネットワーク接続を確認してください。
  4. サーバ・プールの作成
    "Confirm"を押しサーバ・プールの作成を実行します。
    成功すると下のようにサーバ・プールがリストされます。


今回はOVMの管理概念とサーバ・プールの作成について説明しました。
次回はユーザとグループについて説明します。

水曜日, 11月 04, 2009

テキストモードでのタイムゾーンの変更

[概要]
Red Hat系ディストリビューションでのタイムゾーンの変更方法を説明しています。

[詳細]
Red Hat系ディストリビューションでは、GUIでのタイムゾーンの変更に"/usr/bin/system-config-time"を使用して簡単に変更をすることが出来ます。サーバなどでGUIがインストールされていない場合には"/usr/sbin/timeconfig"を使用します。
設定したいタイムゾーンに、矢印キーでカーソルを合わせて、"OK"を押すだけで設定できます。

月曜日, 11月 02, 2009

Oracle VM 入門 (第2回、Oracle VM Managerのインストール)

[概要]
Oracle VM (OVM) Manager Managerのインストールについて説明します。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
前回は、OVM Serverのインストールについて、説明しました。今回はOVMの管理を管理するOVM Managerについて説明します。
OVM Managerは、OVM Serverを統合管理するためサーバで、OVM Serverを運用するために用意する必要があります。
実際には、OVM Managerの代わりに"Oracle Enterprise Manager Grid Control"の有償オプションや、管理するサーバが少ない場合には、libvirtやxmコマンドを使って通常のXenのように運用することも出来ます。

  1. サーバの準備
    Oracle VM Managerをインストールするためのサーバを準備します。
    • サーバの最小スペックは次の通りです。

      1.83 GHz2 GB4 GB
      メモリ2 GB
      CPU
      swap
      HDD
    • OSには、RHEL系のディストリビューションのLinuxサーバを用意します。
      正式には、RHEL 4.5以降とOracle Enterprise Linux4.5以降がサポートされています。
    • 32bitのlibaioパッケージをインストールする必要があります。

      [root@linux ~]# rpm -Uvh libaioversion.i386.rpm
    • ネットワーク・ポートは、1521番,4443番,8080番,8888番と8899番が空いていること。
    • "/etc/hosts"に、自ホストのIPアドレスが登録してあること。

      [root@jp-lin03 ~]# vi /etc/hosts
      # Do not remove the following line, or various programs
      # that require network functionality will fail.
      127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
      ::1 localhost6.localdomain6 localhost6
      192.168.3.3 ovmmgr
  2. ディスクのマウント
    OVM Serverと一緒にをダウンロードしたOVM Managerのイメージを、OVM Managerをインストールするサーバにコピーしマウントします。

    [root@linux ~]# mount -o loop,ro ./OracleVM-Manager-2.2.0.iso /mnt
  3. インストーラの起動
    マウントポイントに移動して、インストーラを起動します。

    [root@linux ~]# cd /mnt
    [root@linux ~]# sh ./sh runInstaller.sh

    (注意)
    インストーラは、X サーバを必要としています。Windowsからリモートでインストールする場合にCygwinなどX Windowサーバをインストールしてください。Linuxではリモート、ローカルに関わらずxhostコマンドとDISPLAY環境変数を使って、rootユーザがX Windowにアクセスできるように設定してください。
  4. インストールタイプの選択
    インストールタイプを、インストール、アンインストール、アップグレードから選択します。今回は新規インストールなので、'1'(インストール)を選択します。

    On the command prompt, enter 1 to install Oracle VM Manager.

    Please enter the choice: [1|2|3]
    1. Install Oracle VM Manager
    2. Uninstall Oracle VM Manager
    3. Upgrade Oracle VM Manager
  5. 管理データベースの選択
    OVMの構成情報を格納するOracle DBを指定します。
    1.はOracle XE データベースを新たにインストールします。
    2.は既存のOracleデータベースを使用します。
    今回は、'1.'を選択した場合について説明します。

    Do you want to install a new database or use an existing one? [1|2]
    1. Install a new Oracle XE database on localhost
    2. Use an existing Oracle database in my network
  6. データベースのネットワーク設定
    データベースが使用するポート番号を指定します。
    "Oracle Application Express"は、WEBベースのアプリケーション開発ツール。
    "the database listener"は、データベースとアプリケーション間の通信を行います。

    Oracle Database 10g Express Edition Configuration
    -------------------------------------------------
    This will configure on-boot properties of Oracle Database 10g Express
    Edition. The following questions will determine whether the database should
    be starting upon system boot, the ports it will use, and the passwords that
    will be used for database accounts. Press to accept the defaults.
    Ctrl-C will abort.

    Specify the HTTP port that will be used for Oracle Application Express [8080]:
    Specify a port that will be used for the database listener [1521]:
  7. データベース管理アカウントのパスワード設定
    データベース管理アカウントである"SYS"と"SYSTEM"のパスワードを設定します。
    ここでは、"SYS"と"SYSTEM"に、同じパスワードが設定されます。

    Specify a password to be used for database accounts. Note that the same
    password will be used for SYS and SYSTEM. Oracle recommends the use of
    different passwords for each database account. This can be done after
    initial configuration:
    Confirm the password:
  8. 自動起動の設定
    OS起動時に、データベースを起動するか否かを設定します。OVM Managerのアプリケーションは、OS起動時に使用するので接続するデータベースも自動起動するよう"Y"を選択します。

    Do you want Oracle Database 10g Express Edition to be started on boot (y/n) [y]:
  9. OVM管理ユーザ(スキーマ)のパスワード設定
    OVMの構成情報を管理するデータベース上のユーザのパスワードを設定します。

    Set default database schema to 'OVS'.
    Please enter the password for account 'OVS':
    Confirm the password:
  10. APサーバ管理者のパスワード設定
    アプリケーション(J2EE)サーバの管理者のパスワードを設定します。

    Please enter the password for account 'oc4jadmin':
    Confirm the password:
  11. キーストアのパスワード設定
    キーストアのパスワードを設定します。

    Please enter the keystore password for the Web Service:
    Confirm the password:
  12. SSL使用の選択
    OVM Managerへのアクセスにhttpsを使用するか否かの選択を行います。

    Do you want to use HTTPS access for Oracle VM Manager (Y|n)?
  13. OVM管理者のパスワード設定
    OVM Managerにログインする際のOVMの管理者のパスワードを設定します。

    Please enter the password for the default account 'admin':
    Confirm the password:
  14. 管理メール送信先の設定
    メッセージを送るメールサーバと管理者のメールアドレスを指定します。

    Configuring SMTP server ...
    Please enter the outgoing SMTP mail server(e.g. - mail.abc.com, mail.abc.com:25): foo.bar.com
    Mail server checking, may need some time, please wait ...
    Mail server 'vmsrv.nec-sta.com' check failed, enter Y to change the name and retry or N to keep hostname and continue(Y|n)?
    Setting the SMTP server to vmsrv.nec-sta.com ...
    Done

    Please enter an e-mail address for account 'admin':
    E-mail address can't be null. Enter e-mail address:root@foo.bar.com
    Confirm the e-mail address :root@foo.bar.com


  15. OVM Managerの設定情報の表示
    メールの設定が完了すると、WebコンソールやWEBサービスのURLが表示されて、インストールが終了します。

    The console feature is not enabled by default.
    For detailed setup, refer to Oracle VM Manager User's Guide

    Installation of Oracle VM Manager completed successfully.

    To access the Oracle VM Manager 2.2 home page go to:
    https://192.168.3.3:4443/OVS

    To access the Oracle VM Manager web services WSDL page go to:
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/LifecycleService.wsdl
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/ResourceService.wsdl
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/PluginService.wsdl
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/ServerPoolService.wsdl
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/VirtualMachineService.wsdl
    https://192.168.3.3:4443/OVSWS/AdminService.wsdl

    To access the Oracle VM Manager help page go to:
    https://192.168.3.3:4443/help/help


  16. TightVNCのインストール
    Webブラウザから、仮想マシンのコンソールに接続するために、TightVNCを次のURLからダウンロードして、インストールします。
    http://oss.oracle.com/oraclevm/manager/RPMS/
    rpm -ivh tightvnc-java-version.noarch.rpm


  17. OVM Managerへの接続確認
    「設定情報の表示」で表示された"To access the Oracle VM Manager 2.2 home page go to:"の次の行にあるURLにWebブラウザでアクセスします。



これでOVM Managerのインストールが完了しました。次回から数回にわたりOVM Managerを使用したOVMの管理について説明します。